「営業戦略」という用語をご存知でしょうか。
似たような言葉は聞いたことがあるけれど、具体的な意味は分からない。
経営陣や企画部が騒いでいるだけと、無関心なビジネスパーソンも多いかもしれませんね。
この記事では
営業戦術について知りたい
営業戦術の立案を始める・始めている
どんな方法で戦略を書くのか知りたい
といった人におすすめです。
今回は、営業戦略とその立案方法、分析方法等を優しく解説していきます。
営業戦略とは?
営業戦略とは、営業目標(利益率向上、シェアの拡大等)を達成するための計画をいいます。
従来のビジネスモデルが成り立たないケースが多くなってきた昨今では、長期的な売上やシェアを維持するために必ず営業戦略を練る必要があります。
例えば、営業戦略なく思い付きでキャンペーン等を行っても、それは一時しのぎにしかなりません。それに、社員がそれぞれの考えで行動すると、組織の力が分散してしまいます。
独自の行動が他の社員にとってマイナスの影響を与えるともあれば、営業目標の達成が難しくなるでしょう。このように、営業戦略は"営業目標達成のための諸計画"だけの意味ではなくブランディングとも密接に関わってきます。
営業戦術との違い
営業戦略に類似した用語に「営業戦術」があります。
営業戦術は、営業戦略を達成するための作戦・手段と位置づけられます。
営業戦略は
営業目標を達成するための事前計画
経営陣や経営企画部等、主にリーダーが立案、意思決定
原則として中~長期的なスパンで計画を行う
このように、長期ビジョンで決められた目標を達成するための計画が「戦略」、
戦略で立てた計画をそのとおりに遂行するための作戦が「戦術」となります。
つまり、営業戦略を正しく設定しなければ、優秀な戦術を実行しても空回りしてしまいます。それでは、どのように営業戦略を立てればいいのか、次のように解説します。
営業戦略の立て方・進め方
営業戦略の立案4ステップ
ステップ1.営業戦略の明確な数値化 ステップ2.現状の把握 ステップ3.立案前の必要な分析 ステップ4.営業戦略の立案
ステップ1
営業戦略の明確な数値化数値化された営業目標をKGI(Key Goal Indicator)といい、KGIに沿って営業戦略を決めます。
コツは、「在庫一掃」や「新規顧客を増やす」ではなく具体的な数値で戦略を計画することです。例えば、KGIが「年間売上高10億円」であれば、「法人部門で5億円」「ネット販売で2億円」「新規顧客を開拓し3億円」のように戦術につながる計画を立てます。
ステップ2
現状の把握KGIおよび営業戦略の数値が達成可能かどうか、自社のリソース、市場規模等の分析・検証を行います。
層の欲望や企画担当者の皮算用でKGIが設定されていると、営業戦略が意味をなさないため、事前の現状把握により破綻を防ぎます。
ステップ3
立案前の必要な分析顧客ニーズやライバル商品など、分析は多岐に渡りますが、代表的なところでいえば
マーケットイン(市場目線)の場合の分析では3C分析
プロダクトアウト(自社目線)の場合の分析ではSWOT分析
といったフレームワークが挙げられます。
ステップ4
営業戦略の立案営業戦略をまとめ立案、実行します。また、営業戦略は営業戦術に相当な影響を及ぼすため一方的に各事業部に配布するのではなく、責任者や開始時期などを共有することが大切です。
覚えておきたい分析・思考方法
ここでは、営業戦略で頻繁に使われる「3C分析」と「SWOT分析」、思考法として「7つのS」を取り上げます。
3C分析
「市場(Customer)」、「競合(Competitor)」、「自社(Company)」の3Cで市場環境を分析するフレームワークです。
市場の変化や競合相手の成功要因、自社の資源などに着目して分析を行います。
自社の分析から入ってしまうと、その分析に市場、競合を当てはめてしまうので、自社を最後に行うのがポイントです。自社の強みや改善点が明らかになります。
SWOT分析
自社の持つ「強み(Strengths)」、「弱み(Weaknesses)」、自社を取り巻く「機会(Opportunities)」、「脅威(Threats)」の4つの項目に整理して分析するフレームワークです。
一般的に、SWOT分析で集めた情報をかけ合わせて「クロスSWOT分析」を行います。
営業戦略を考えるうえでは「強み×機会」の項目を優先します。 強みを活かした営業戦略は最も重要であることは、言うまでもないからです。
また、リーダーの思考法として、マッキンゼー提唱の「7つのS」が有益です。
7つのS組織を7つのカテゴリーに分け、最適な営業戦略を考えるためのフレームワークです。
ハードの3Sであるシステム(Systems)、組織(Structure)、戦略(Strategy)と、
ソフトの4Sである価値観 (Shared Value)、社風(Style)、人材(Staff)、能力(Skills)に分け、営業戦略を基盤に組織改革を行います。
しかしながら、ソフトの4Sを変えるためには営業戦略だけではなくリーダーシップや膨大な時間、労力を要します。
せっかくハードを変えてもソフトが変わらないと、営業戦略は100%の機能を発揮しません。
リーダーは常に組織、周囲を考え、改革を前に進めていく思考が必要です。
まとめ
以上、営業戦略に関して一通り解説しました。
まとめると、
「営業戦略」とは、営業目標(利益率向上、シェアの拡大等)を達成するための計画
類似言葉の「営業戦術」とは、その営業戦略を達成するための作戦・手段
営業戦略の立案前には、1.営業戦略の数値化、2.現状把握、3.様々な視点での分析を行う
3C分析、SWOT分析などを用いて自社の強みを活かした営業戦略を形作る
リーダーは常に営業戦略を社内に浸透させるために思考が必要
これで営業戦略を知り、書き出すことができるかと思います。
営業戦略は決して一握りの人が満足するためだけの計画ではありません。時には周りの部署や現場に足を運んでヒアリングをし、全社一丸となって取り組む姿勢が大切です。
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